2.

ぼくが懐中時計を失くしたことを、あなたはたぶん、知らないでしょう。
とても大事にしていた懐中時計だったのですけれど、失くして惜しいとは思いませんでした。
それがどうしてなのか、ぼく自身にも分かりません。

ただ、その代わりに素晴らしい時計を見つけました。

あなたからの手紙を受け取ってから3日後、ふらりと上った丘の上に、とても大きな時計があったのです。


もしかしたら、あなたもこの時計を見つけたのかもしれません。
長針が、たったひとつだけ刻まれた13という数字に届こうか届くまいか、その瞬間に時間の概念を忘れてしまったように凍りついた、その時計。


その時ぼくは、自分がどこへ向かおうとしているのか、まだ何も知らずにいたのでした。
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