|
7. 「いこう」 ぼくはかおる子の手をとって走り出した。 ・・・ どこか遠くで母さんが呼んでいるような気がした。 けれども、ぼくをそんなふうに呼んだことなんて、一度だってない。 だから気のせいなんだと、ぼくは思った。 ・・・ ぼくたちは走った。 まわりが止まってみえた。 どうしてあんなにゆっくりしているんだろう。 そんなふうに思えるくらいに。 いくつもの坂道をこえて、きづいたらぼくたちは遊園地の前にいた。 がらんとして、誰もいなかった。 ジェットコースターもメリーゴーランドも動いていなかった。 時計さえも止まっていた。 その中を、観覧車だけがしずかに回っていた。 |