8.


手のりひつじがはこを抜け出してかけだした。

観覧車に向かって。

かおる子も走っていった。

ぼくはそのあとを追った。


・・・


かおる子は手のりひつじをひざに抱えていた。

ぼくはその向かいにすわった。

観覧車がゆっくりとのぼっていく。

ほんの少しずつ地面からはなれ、窓の外にはとおくの景色がみえはじめた。

深く青い夜の空に、数えきれないほどの星が光っていた。


なにかいわなきゃ。

そう思っても、なんにも思いつかなかった。


いつのまにか雪がふりはじめていた。

おおきなおおきな雪の結晶。

こんな季節に雪がふるなんて、知らなかった。

もしかしたら、それはほんものの雪じゃなかったのかもしれない。

ほんとうのことはわからない。