9.


かおる子は泣いていた。

どうして泣いているの?

ぼくはそうたずねたかった。

けれど、なんにもいえなかった。

かおる子のなみだはダイアモンドみたいに透きとおっていた。

そのひとしずくが手のりひつじの顔に落ちた。

手のりひつじがちいさく細い声で鳴いた。


「さよなら」


聞き違いなんかじゃない。

たしかにかおる子はそういった。

どうしてさよならをいわなきゃいけないんだろう?


そのときふっとあかりが消えた。

観覧車も止まってしまった。

もう、おしまいの時間なんだ。

ぼくはそう思った。