10.
窓の向こうに街がみえた。
ぼくの住んでいる街だ。
やわらかい光につつまれて、まるでねむっているみたいだった。
そのなかに、ぼくの部屋があった。
だれもいないはずなのに。
でも、そこにはだれかがいた。
ちいさな男の子。
その子はぼくにむかって手をふっていた。
よくみると、それはちいさなころのぼくだった。
さよならを告げているんだと、そう思った。
「さよなら」
ぼくはつぶやいた。
さあぁっと風がふいた。
雪がふいにつよくなり、窓の外を白くおおいかくした。