冷たい海の水を
きみはその白く細い指から
こぼしながらつぶやく
悲しくて仕方がない、と
ぼくは
その悲しみを理解できない
だからこそ
きみのそばにいたいのだと
いくら言っても
きみはさびしく笑うばかり
鋭さを失いつつ
満ち始めた今夜の月は
明日の日の出とともに
きっと消えていくだろうけれど
朝露に濡れた木の葉のように
ただ黙って
白む空に手をのばした
ふいに指先に触れた
暖かい風が
瞬きする間に
きみの姿をかき消した
"机上の空論"
(empty)